松本院長のひとりごと(1)

■(その1) 「膝の水」
■(その2) 「あたためる?」それとも「冷やす?」
■(その3) 「レントゲンは撮らないの?」
■(その4) 「お風呂に入っていいの?」
■(その5) 「どうやって痩せたの?」

(その1) 「膝の水」


日常診療で膝に水がたまった人をよくおみかけしますが、何も慌てたり動揺したりする必要はありません。
関節には正常な状態でもごく少量の水(「関節液といいます)がたまっていますが、何らかのきっかけ(膝をねじった、長時間正座をした、不安定な場所を歩いた・・・など)で関節液がたくさん生産されてしまうと関節の袋の中にたまってしまうのです。水がたまった状態が長く続くと膝関節がガタつきやすいため、水を減らす治療をしたほうがよいのです。

当院では、まずは「漢方薬」を数週間のんでいただく治療をおすすめしています。これによりたいていの方の水は減ってきますが、減らない方は漢方薬を変更したり、注射器で水を抜き取る治療も併用します。注射で水を抜く治療は1回限りで終わることは少なく、何度か水を抜く必要があるため、多くの方は「膝の水を抜くと癖になる」と誤解されているようですが、根気よく続ければ、やがて水はたまらなくなってきます。注射をした当日も入浴していただいてかまいません。

水がたまっている間も平坦な場所を歩いたり、日常の活動を維持するほうが早く治ります。正座も可能ならやってもかまいません。

「膝の痛み」は「水がたまる」ことによってだけ起こるわけではなく、過労・冷えなどにより太もも、ふくらはぎ、おしりの筋肉が固くこわばった結果、膝に痛みがおこる場合もありますので、その場合はそのこわばった場所に局所麻酔の注射をする(「トリガーポイント注射」といいます)と痛みがラクになる場合がありますのでご相談ください。

いずれにしても人間は歩くことができなければイキイキと生きているとはいえません。高島の皆さんはどこへいくのも車を使う方が多く、歩く量が少なくなっている方がたくさんおられます。すこしでも多く歩く習慣を維持するようにしましょう。


(その2) 「あたためる?」それとも「冷やす?」


日頃、外来診療をしておりますと、「昨日痛みがでたのですが、痛いところを温めてしまったのがいけなかったのでしょうか?」とか「腰痛に冷シップをはってしまったのでかえって痛くなってしまいました」などとおっしゃる方が大勢おられます。
一般的に「急性の痛みは冷やすとよい。慢性の痛みは温めるとよい。」といわれていますが、どこからどこまでが「急性」で、どこからが「慢性」か判断できませんよね。ですから実際貼ってみて「心地よく感じる」シップならなんでもよいのです。いわゆる「温シップ」は通常の「冷シップ」にトウガラシの1つの成分であるカプサイシンを練り込んだだけのもので、貼り薬のヒヤッとする感覚をやわらげてくれますが、実際に患部をあたためるほどの力はありません。ですから、間違って貼ったとしても症状が悪化する心配はありません。「冷やしてはいけない」と思い込み何枚も衣服を重ね着している方もおられますが、中で汗をかき、その気化熱によりかえって冷えてしまっている人もおられます。
日本人が健康である理由の1つに「四季がある」ことがあげられます。寒いときもあれば暑いときもある、その温度変化に対応しようとして体の調子が活発になると考えれば、1日・1週間・1ヶ月といった短い期間の中でも寒いとき、熱いときがあってもよい、とおおらかに考えたらよいと思います。寒い地域に住む人がより病気になりやすいわけではありません。
外用貼付剤の分類として「パップ剤」と「テープ剤」という分類もあります。
「パップ剤」は貼った瞬間ひんやりし、はがすときに力は不要ですが、よく動く場所にはるとずれやすい欠点があります。
「テープ剤」は貼った瞬間の冷感はなく数分してからスーッとした感じがでてきます。粘着力があり、患部への薬剤浸透性にもすぐれています。どちらがいいかはこれも好みですので、実際に貼ってみて心地よいほうを使ってみてください。


(その3) 「レントゲンは撮らないの?」


当院は他の医療機関と比べてレントゲン検査をおすすめすることがあまりありません。院内にはレントゲンの撮影器械が無いと思っておられるかたすらおられます。でも実はちゃんとあるんですよ。
よく、これまでに他の医療機関でレントゲンをとってもらい「骨と骨の間隔がせまい」「骨が神経にあたっている」「骨が変形している」「ヘルニアのケがある」「軟骨がすりへっている」などといわれたことをずっと記憶しておられ、人より自分は骨が悪いんだと思い込んでおられる方がいらっしゃいますが、心配はありません。「画像検査の異常」と「痛み」は必ずしも一致しないということがわかってきたのです。
レントゲンをとるべき病気は以下の場合に限られます。
・骨折を強く疑うとき
・悪性・感染性疾患を疑うとき
・入院・手術などの治療を選択しないといけない可能性があるとき
これらの病気はレントゲン、CT、MRIといった画像検査を行い、治療方針を決定しないといけませんが、いわゆる「加齢性」の病気にレントゲン検査は不要で、むしろ治療効果を妨げます。「骨が悪い」から治らないと思い込んでおられるかたは治りが悪くなると思います。では、痛みの原因はなんでしょうか。大部分の痛みの原因は筋肉(いわゆる「スジ」)であると考えています。仕事やスポーツによる使いすぎや日常生活動作のくせ、加齢、ストレスなどにより筋肉の柔軟性が失われることによって筋肉に「こり」、「硬結」を生じ、その硬結からすこし離れたところの痛みをひきおこすのです。ですからその「こり」を治療によってなくしてやれば痛みがなくなることが多いのです。当院では低周波などの電気をあてる治療や薬を使う治療などに加えてトリガーポイント注射という注射の治療を積極的に行っていますのでしつこい痛みにお悩みの方はご相談ください。


(その3) 「お風呂は入ってもいいの?」


 患者さんに注射をしたその当日に「今日、お風呂に入っていいですか?」と、かなりの確率で尋ねられます。その答えはもちろん(意外にも?)「入っていいですよ。」です。
 古くから『注射の当日にお風呂に入るとバイキンが入る』などといった迷信がいいつたえられてきました。いまでも多くのお医者さんがそういわれます。しかし、科学的に考えてください。注射のあとの細い穴からバイキンが入るには注射と同じくらいの圧力をその穴にかけないといけませんし、また、お風呂などの水中にいる細菌は体を化膿させたりする力がないことが証明されています。ですからお風呂を我慢することはナンセンスです。
 キズを負ったときも全く同様です。キズを水にぬらしても化膿しません。キズが化膿するのは別の感染源があるときです。よく、キズに消毒液を塗る人がいますが、これも「百害あって一利なし」です。消毒液はキズを修復する細胞を破壊することが知られており、キズを負ったときは大量の水道水で洗ってやるほうがよっぽどキズに優しいし、早くキズがなおります。
お風呂にはいってはいけないのは…
・体力が著しく低下しているとき
・平熱より2℃以上体温があがっているとき
・キズからだらだら出血しているとき
などに限られます。
お風呂は一番手軽で安上がりな健康維持器具です。安心してお風呂につかってください。
お風呂に入るとき、痛い手足を湯船につけないようにがんばっている方もお見受けしますが、あたたまった血液は心臓から体中にまわっていきますので、無駄な努力といえます。かえってバランスをくずしてひっくりかえってしまう可能性もありますので、注意してください。


(その3) 「どうやって痩せたの?」


 私はここの医院を開業した当時、体重は90kg近くある(ちなみに身長は163cmです)肥満体でした。それが今から4年ほど前に1~2年かけて減量し、現在は64kgを維持しています。25kgくらいやせたことになります。
 「どうやってやせたのですか?」ときかれることが多いので、方法をお話させていただきます。誤解を恐れずにいうと炭水化物(≒糖質)を含む食事を減らす方法(以下、「糖質制限」とよびます)です。おかず(肉・卵・チーズは好きなだけ食べてかまいません)中心の食事をゆっくりと時間をかけて食べ、炭水化物をたっぷり含んでいる米、パン、麺類を食べないという食事です。アルコール類はワイン、焼酎、ウイスキーがおすすめです。
 私はダイエット後、ほぼ毎晩ワインを1本飲んでいますが、体重は維持できていますし、血液検査の結果も正常です。運動は特に必要ありません。こんな楽なダイエットはないと思うのですが、いかがでしょう?
 いきなり3食とも糖質制限する必要はありません。まずは続けやすい時間の食事の糖質を減らしてみることからはじめてください。ただし、おかずはたっぷり食べてくださいね。そうしないとエネルギー不足になります。
 ただし、すでに糖尿病の治療薬を飲んでおられる方がいきなりこの食事をすると血糖値が下がりすぎますので主治医の先生の許可が必要です。
 糖質制限の方法を詳しくおしりになりたい方は診察室でおたずねください。

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トリガーポイント注射
トリガーポイントとは、腰や肩などに強く痛みを感じる点のことを言います。急性の筋肉の障害(ぎっくり腰など)や、筋肉の反復性の運動・ストレス(使いすぎ)により、筋肉内に硬いしこりのような部分(緊張帯)ができます。その部分がトリガーポイント(特に強く痛みを感じる点)と考えられます。 (>> 続きを読む

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